福祉施設用語百選 第1話 老人福祉施設とは?
老人福祉施設は、介護や支援を必要とする高齢者を対象とし、施設介護や在宅での介護の支援を特徴とする福祉施設です。
高齢者向けデイサービス
高齢者向けデイサービスは、要介護認定を受けた方がご自宅で生活を継続できるように、各種機能訓練やほかの利用者用者・スタッフとの交流を通して、心身機能の維持・向上を図る通い型の介護保険サービスのことです。
介護保険制度では「通所介護」とも呼ばれ、自宅を離れてデイサービスに通うことで、社会的孤立感の解消にもつながります。
また、利用中は家族介護者が介護負担から解放されるため、介護者の身体的・精神的負担の軽減もデイサービスが果たす大きな意義・役割となっています。
厚生労働省の「平成30年度介護給付費等実態調査の概況」によると、デイサービスは在宅で介護保険サービスを利用している人の中で、最も利用頻度が高いサービスとなっています。
最近では、リハビリや趣味に特化したデイサービスなども登場し、形態が多様化しつつあります。
デイサービスには1日型と半日型の2種類ありますが、どちらの場合も事業所の車で送り迎えをしてくれるので、ご家族が自動車の免許を持っている必要はありません。
デイサービスは入浴、排泄、食事等の介護など、多様なサービスを受けることができます。
また、心身機能の維持・向上につながる機能訓練を受けることができ、機能訓練・リハビリの知識を持つスタッフの手厚いサポートを受けながら取り組めるので、自宅にて自分で取り組むよりも成果が出やすいです。
エアロバイクなど身体機能向上のための器具が数多く取り揃えられているデイサービスも登場しています。
レクリエーションや趣味を楽しむ場を提供することも、デイサービスの大きな役割です。
レクリエーションでは職員と利用者が一緒になって、体や頭を使ったゲームなどを行います。
また、生け花や将棋、囲碁など、趣味に打ち込めるよう器具・設備を整えている事業所も多いです。
高齢者向けデイケア
デイサービスとデイケアはどちらもご利用者の1日をサポートする施設です。
施設の名前が似ていますが、目的や提供するサービス内容が異なります。
デイサービスとデイケアの大きな違いは、人員配置基準で「医師の常駐が義務付けられているかどうか」です。
デイサービスは医師の配置義務はありませんが、デイケアは専任の医師1名以上が常駐しています。
また、デイサービスはご利用者が楽しく過ごせる施設で、デイケアはリハビリを中心とした施設といった違いもあります。
デイケアは、身体機能の維持や改善といった治療をともなうサービスを提供する施設です。
デイケアは病院や診療所、介護老人保健施設などの医師が常駐している施設内に併設していることが多いです。
デイケアの目的
デイケアの目的は、ご利用者がリハビリ治療を行うことです。
ご利用者の状態に適したリハビリメニューへ取り組み、身体機能の維持や回復、認知症予防および改善などを目指します。
デイケアが提供するサービス
デイケアもデイサービスと同様、送迎や食事・入浴の介助を行います。
また、医師の指示にもとづいてリハビリを実施します。
ご利用者の自立支援につながるよう、看護師や理学療法士、作業療法士などがケアに努めています。
高齢者向けフィットネス
高齢者向けフィットネスは、身体を動かすのが難しい高齢者でも通うことのできるスポーツクラブで、「健康寿命を延ばす」がテーマです。
長寿であっても、介護が必要な状態が何年も続くようであれば、生活への満足度は低いと言わざるを得ません。
「長く生きるなら、健康で自立した生活ができる状態をいつまでも維持したい」というシニアの願いをサポートできるのが高齢者フィットネスです。
フィットネスで体力づくりを行うシニアは、年々増え続けており、平成26年版「産業活動分析」によると、世帯主の年齢階級別「スポーツクラブ使用料」は、60歳代がダントツのトップです。
加えて、スポーツクラブ使用料支出金額の全体に占める世帯主の年齢階級別シェアは、60代が39.6%、70代が25.5%と、全体のおよそ65%を占める結果となりました。
高齢者フィットネスをおすすめするのは、以下5つのいずれかに当てはまる人です。
「健康貯金」を貯めたい人
私たちの身体能力は、年を取るにつれて減少してきます。
加齢で筋肉が固くなり、また運動不足で筋力が低下することによって、身体は痛みが出やすくなります。
トレーニングを行うことにより、筋力を保持し、筋肉のしなやかさを保てれば、身体能力の低下を遅らせることができます。
このようなトレーニングを「健康貯金」といい、実践すればするほど「健康貯金が貯まる」=「若々しく元気でいられる期間が長くなる」とされています。
「健康貯金」を貯めるには、フィットネスなどで体を鍛えるほか、健康的な食習慣を身につけたり、睡眠不足を解消したりするのも効果があるとされています。
体力に自信はないけれど、運動を楽しみたい人
「フィットネス」と聞くと、「体力に自信のある人が通うスポーツクラブでは?」と身構えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、高齢者フィットネスには、体力に自信のない人こそが楽しんで取り組めるプログラムがそろっています。
「もっとハツラツと体を動かしてみたい」「体力をつけて、いろんなスポーツを楽しんでみたい」と願う人にピッタリです。
健康的にダイエットをしたい人
高齢者フィットネスには、筋力を無理なくアップさせるプログラムが豊富に用意されています。
過度な食事制限など不健康なダイエットをせずに、引き締まった体がほしいと願う人にピッタリです。
器具を使わないプログラムであれば、家でも実践できます。
腰痛、肩こり、ひざの痛みなど、体の痛みが出始めた人
高齢者フィットネスには、体をほぐし、血行を促す運動プログラムが多数用意されています。
筋肉の柔軟性をアップさせれば、体の痛みを和らげられる可能性があります。
ただ、痛みが強く通院しているような状態であれば、運動がかえって体の痛みを悪化させる恐れもあるので、その際は医師や整体師に「フィットネスをやりたい」と相談しましょう。
加齢などにより身体的な障害が生じているが、健常な部位を健康なまま保ちたい人
高齢者フィットネスには、車いすの人でも取り組めるプログラムや、障害のある部位を守りながら他の筋肉を鍛える知識を持っているインストラクターが充実しています。
介護資格を保持したスタッフが常駐しているフィットネスもあるため、身体に障害があっても安心して通えます。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、食事の提供、介護の提供、洗濯・掃除等の家事の供与、健康管理のうち、いずれかのサービス(複数も可)を提供している施設です。
介護保険制度における「特定施設入居者生活介護」として、介護保険の給付の対象となっています。
都道府県知事へ届出を行うこととされている民間施設で、サービス費用および入居にかかるすべての費用が有料となる高齢者向け住宅です。
年々、有料老人ホームは増えています。
急増要因としては、介護保険制度の創設により民間事業者による運営がしやすくなったこと、定員要件の廃止、対象サービスの増加、高齢者向け住まいのニーズの拡大などが挙げられます。
有料老人ホームは民間企業が主に運営しており、基準を満たしていればどんな体制でも可能なため、入居要件、サービス内容、強みとしている部分がホームによって異なります。
例えば月額費用が100万円を超す高級なものから、入居一時金がかからないプランを持つ施設まであります。
医療体制が充実しているものもあれば、温泉がある施設、海が見える施設、ペットと暮らせる施設、認知症の方も入居できる施設もあります。
有料老人ホームの種類は「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3つの類型に分けられます。
介護付有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐し、掃除や洗濯など身の回りの世話や、食事、入浴、排せつなどの介助サービスが受けられる介護施設です。
主に民間企業が運営しており、一定の設備、人員、運営基準のもと都道府県の指定・認可を受けている施設を指します。高級な施設もあれば低価格が特徴の施設もあり、入居費用の設定はさまざまです。
入居要件も施設により異なり、介護度が軽い方から重い方、寝たきりの方、認知症の症状がある方など幅広く受け入れています。
看取りまで対応しているところが多く、終のすみかの選択として探しておられる方が多い施設種別です。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは主に民間企業が運営し、自立(介護認定なし)状態の方から要支援・要介護の方まで、様々な状態の高齢者を、幅広く受け入れている施設です。
生活援助や緊急時の対応、レクリエーションなどのサービスが受けられるほか、介護サービスが必要なときには、訪問介護や通所介護などの外部サービスを利用しながら生活できます。
介護サービスの料金が介護度によって定額となる介護付き有料老人ホームと比べて、介護が少ない場合は安くなり、介護がたくさん必要な場合は高くなる傾向にあります。
住宅型有料老人ホームは「介護サービスを必要に応じて外部から提供してもらう」のに対して、介護付き有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護と呼ばれる介護保険サービスが、事業者から提供される前提」となっています。
入居者が必要に応じて外部から介護サービスを提供してもらうため、基本的に介護スタッフは常駐していません。実際には、施設内に介護事業所が併設されているケースも多いですが、あくまでも外部サービスの位置づけになります。
また、住宅型有料老人ホームで要介護度が上がった場合、介護費用が上昇するため、支払いができなければ住み替えを検討しなければならない可能性が出てきます。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、家事手伝いなどのサポートを受けられ、日常生活を楽しむための設備が充実している施設です。主に民間事業者が運営しています。
基本的に自立(介護認定なし)あるいは要支援状態の高齢者を受け入れていますが、介護度が上がると退去となります。
健康型有料老人ホームの特長は、ほとんどの家事を施設スタッフに依頼でき、シニアライフを楽しむための図書室やスポーツジム、シアタールームなどの設備が充実していることです。
また、外部サービスを利用することで、軽度の要介護状態に対応しているほか、健康状態を管理してもらうことができます。
一方、重度の介護状態では基本的に住み続けられないほか、要介護度が高いと介護サービス費用が割高になる、入居一時金や利用料が高い、などのデメリットがあります。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは「特養」とも呼ばれ、、要介護状態の高齢者が在宅で介護を受けられないときに、介護サービスを受けながら生活するための施設です。
1963年に制定された老人福祉法に基づいて「老人ホーム」が規定された際、養護老人ホームの一種としてつくられました。
2000年からは、介護保険制度に基づいて高齢者に介護を提供する介護保険施設となり、現在に至ります。
施設としての目的は高齢者を介護することで、寝たきりなど介護度が高い人でも入居することができます。
また、終身利用を視野にいれた長期入居もできる施設です。
月々の利用料は一定額発生しますが、民間の有料老人ホームなどに比べると料金が安いのが特徴です。
特別養護老人ホームの入居条件は下記のように定められています。
特別養護老人ホームの入居条件
・65歳以上で要介護3以上の高齢者
・40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
・特例により入居が認められた要介護1~2の方
ただし、上記の入居判定基準は原則であり、実際に入居可能かについてはケースごとに判断されているのが実情と言えるでしょう。医療的ケアが必要な方で24時間のケアを必要とする方は、入居対象者とならず、受け入れができないケースがあります。なぜならば、看護師の24時間配置が義務づけられておらず、不在の時間帯は医療的ケアの対応ができないからです。
また、認知症が進んで他の入居者やスタッフに危害を加える可能性がある場合などは、上記の条件に当てはまっても、入居を断られるケースが考えられます。
さらに介護度に関わらず、感染症を持つなど「集団生活が難しい」と判断される方も入居は困難です。
地域密着型介護老人福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、入所定員30人未満の小規模な特別養護老人ホームのことを指します。
従来の特別養護老人ホームと同じように、常に介護が必要な方の入所を受け入れており、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上のケアなどを提供します。
平成18年の介護保険制度改正に伴って導入された地域密着型サービスの一つであり、比較的新しい施設が多いのも特徴です。
明るく家庭的な雰囲気があり、地域や家族との結びつきを重視した支援を行うこととされており、従来の特別養護老人ホームと比べると、自宅で生活していたときの住まいや暮らしを意識したサービスになっています。
地域密着型介護老人福祉施設、はユニットケアをとっているところが多くあります。
ユニットケアとは、入居者一人一人の人格や尊厳を重視し、10人以下を1つのグループ(ユニット)として、少人数の家庭的な雰囲気の中で支援を行うことです。
入居前の生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮されているほか、入居者のプライバシーや尊厳を確保できるように利用者の居室はすべて個室になっています。
入居者の方が何をしたいか、何をしてほしいか、どんなふうに生活していきたいかなど、入居者にて選べるような支援を行っています。
養護老人ホーム
養護老人ホームは、身体的・精神的・環境的・経済的な理由があり自宅で生活することができない高齢者を受け入れて社会復帰を目指す入所施設です。
特に経済的に困窮している高齢者を受け入れる場所とされており、介護施設という扱いではありません。
そのため、食事や健康管理などのサービスを提供することはありますが、基本的に介護サービスを受けることはできません。
また、養護老人ホームは入居者が自立した生活を送れるように支援する、いわゆる「社会復帰」を促すことを定義とする施設です。そのため、長期的に利用することはできません。
養護老人ホームは高齢者の「養護・自立支援」を最大の目的としています。
収入がない・身寄りがないなど、生活面で困難を抱えている高齢者をサポートし、高齢者の社会復帰を支援する役目を担います。
特別養護老人ホームなどの介護サービスを提供する施設とは異なり、入居者に対して食事の提供や健康管理など自立支援サービス、社会復帰支援などのサービスを提供します。
また、介護サービスの提供は行わないため、利用できるのは身体的な介助を必要としない高齢者です。
養護老人ホームは、環境及び経済的理由で困窮している65歳以上の高齢者を入居の対象者としています。
また、入居の決定権は市区町村にあるため、入居する際には市区町村が調査を行います。誰もが入居可能なわけではなく、調査によって入居を決定された高齢者のみ利用できるのです。
軽費老人ホーム
軽費老人ホームとは、比較的少ない費用負担で利用できる福祉施設で、主に自立あるいは要支援の高齢者を受け入れています。
見守りと食事の提供を行う「A型」と、見守りのみの「B型」があります。
軽費老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体などが運営する福祉施設のことです。自治体の助成を受けて有料老人ホームよりも比較的低い利用料でサービスを提供し、生活に対する不安のある自立あるいは要支援の高齢者を受け入れています。
身寄りがない、家庭環境や経済状況などの理由により、自宅での生活が困難な高齢者が暮らすための施設です。
軽費老人ホームで提供されるサービスは、介護職員による見守りのほか、A型における食事の提供などです。
食事や排泄の介助といった介護サービスは基本、提供されておらず、見守りや外出時のサポートといった生活援助中心のサービスとなっています。
軽費老人ホームの役割は、基本的に「生活」のサポートであり、常時介護が必要な状態になった場合、施設によっては特別養護老人ホームなどに移らなければならないケースもあります。
軽費老人ホームの入居基準は、原則、60歳以上の高齢者または夫婦のどちらか一方が60歳以上、自分で身の回りの世話ができるという基本条件のほか、「共同生活に適応できる」「月収が34万円まで」などの条件があります。
軽費老人ホームは1990年以降新設されておらず、基本的に要介護者を受け入れず介護の受け皿にはならないため、2008年には今後ケアハウスへ建替えられることが決まりました。
そのため、全国の施設数は少しづつ減少しており、利用者の平均年齢が80歳前後ということもあって、新規の入居は基本難しい状況です。
ケアハウス
ケアハウスは「軽費老人ホームC型」とも呼ばれ、身寄りがない、または家庭環境や経済状況などの理由により家族との同居が困難な高齢者が、比較的安価に入居できる介護施設です。
ケアハウスは「ケア」とついていることで誤解をされがちですが、すべて介護がメインの施設ではありません。
主に自立の方を対象とした一般型ケアハウスと、要介護の方が入居できる介護型ケアハウスの2種類に分かれています。
一般型(自立型)ケアハウスの特徴
一般型ケアハウスは、主に自立状態の高齢者を対象にした施設です。洗濯や食事などの生活支援サービスを受けられる場で、介護が必要となったときには訪問介護や通所介護などの在宅サービスを利用して生活します。
自立状態でないと見なされた際には、施設からの退去を求められることもあります。
介護型ケアハウスの特徴
一般型とは対照的に、介護度が重くなっても住み続けることが可能な施設です。生活支援サービスのほか、介護サービスや通院の付き添い、安否確認などのサービスが受けられます。
介護型ケアハウスはすべて、一定の人員基準、設備基準などを満たし都道府県から事業指定を受けた「特定施設」となっているため、一定の水準が約束されている施設と言えます。
ケアハウスは多くの場合、入居までに時間がかかります。
低料金で利用できる施設のため入居待機者が多く、令和3年の公益社団法人全国老人福祉施設協議会のアンケート調査によると、平均して1施設あたり16.0 人の待機者がいました。
施設数はゆるやかに増加していますが、他の施設種別に比較すると伸びが悪く、古い建物で運営をしているところが多いのが現状です。
高齢者グループホーム
高齢者グループホームは「認知症対応型老人共同生活援助施設」とも呼ばれており、医師から認知症の診断を受けている方が入居できる施設です。
施設では入居者同士で9人以下のグループで共同生活を送るため、目の行き届いた介護サービスを受けられます。
認知症の方を対象とする施設ではありますが、基本的に入居者として想定しているのは認知症の症状が軽度の方です。
そのため、入居の際には他の入居者と家事を分担できるほどの心身状態であることが望まれます。
認知症状が重度化した場合は、より適切な医療処置を受けるために施設を退去しなくてはならない場合があります。
短期入所施設(ショートステイ)
介護者が自宅での介護が一定期間できなくなった場合や、介護者の負担軽減などの理由により、被介護者が一時的に入所し、日常生活全般の介護を受けることができる施設です。
ショートステイには、「短期入所生活介護施設」「短期入所療養介護施設」「介護保険適用外のショートステイ」の3種類があります。
短期入所生活介護施設
利用者が老人短期入所施設や特別養護老人ホームなどに短期間入所し、介護や機能訓練を受けられる施設です。
連続利用日数が30日までの場合、介護保険制度が適用されます。
介護保険制度が適用され、自己負担額を抑えられることから人気は高く、1~2ヶ月先まで予約が一杯で、希望通りに利用できないことが多々あります。
短期入所療養介護施設
利用者が介護老人保健施設や病院などに短期間入所し、医療・介護・機能訓練を受けられる施設です。
連続利用日数が30日までの場合、介護保険制度が適用されます。
入所はケアマネジャーを通じて行います。予約をしたうえで利用する場合が多く、2~3ヵ月くらい前から予約を受けている施設が多いです。
介護保険適用外の短期入所施設
利用者が主に有料老人ホームへ短期間入所し、医療・介護・機能訓練を受けられる施設です。
介護保険制度が適用されないため利用料は全て自己負担となり高額になりますが、予約が取りやすく気軽に利用しやすい点が人気を得ています。
訪問介護事業所
訪問介護事業所は、事業所に所属している訪問介護員(ホームヘルパー)が介護が必要な高齢者の自宅を訪問して介護サービスを提供する施設です。
訪問介護事業所を利用者する高齢者の方が自宅で可能な限り自立した生活を送れるように支援することが訪問介護事業所の役割です。
訪問介護員(ホームヘルパー)の行う介護サービスは大きく分けて「身体介護」と「生活援助」のふたつです。
「身体介護」は、食事や排泄、入浴の介助、着替えや移乗介助、体位変換、散歩の補助、口腔ケアなどを行います。
「生活援助」は、調理や食事の配膳、自宅内の掃除や整理整頓、洗濯、ゴミ出し、食料品や日用品などの買い物代行、服の補修など、ご利用者の身の回りにおける家事の支援を行います。
このほか、介護保険タクシーを利用して外出の介助も行います。
具体的には、病院への通院、公的機関・金融機関での手続き、日常生活で必要なものの買い物、車での送迎や乗り降りの介助などを行います。
訪問介護サービスを利用できる方は、要支援1・2、要介護1~5の高齢者です。
訪問介護員(ホームヘルパー)になるためには、介護福祉士、介護員養成研修修了者、介護職員初任者研修修了者などを保持する必要があります。
訪問看護事業所
訪問看護事業所は、看護師が医師の指示に基づいて、訪問看護ステーションや病院などから利用者の自宅を訪問し、療養上の世話や医療処置等を行う施設です。
訪問看護を実施できるのは看護師または准看護師、保健師といった看護の資格をもっている専門職になります。
訪問看護は介護保険だけでなく医療保険による対応がありますが、どちらを使うかは、介護認定の有無や限度額の枠、必要な訪問回数など状況を鑑みて選択する事になります。
訪問看護のサービス内容は病状の観察、医師の指示の基づく点滴などの医療処置、在宅酸素などの医療機器の管理、身体の清拭や入浴介助、食事・排せつの介助といった療養上の世話などがあります。
他に家族等の相談に乗り、介護方法の指導や認知症ケア、栄養や運動面においてのアドバイスも行います。
訪問看護を実施するには医師の指示が必要であるため、医師に指示書を書いてもらう必要があります。
病気があり、医療的なケアが必要な方は訪問介護ではなく、訪問看護の利用となります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は「老健」とも呼ばれており、要介護高齢者(要介護1以上)の自宅復帰を目指すため、医師による医学的管理の下、看護・介護を提供する入居施設です。
さらに作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などのサービスまで併せて提供します。
利用者ひとりひとりの状態や目標に合わせたプログラムを、医師をはじめとする専門スタッフが提供しています。看護師が24時間常駐しているところも多いです。
在宅復帰を目標とし、入居期間は原則として3~6ヶ月の期間限定になっていますが、現状は「リハビリがうまく進まず目標とする身体状態まで回復していない」、「家族の受け入れ態勢が整わない」などの理由から、その期間で自宅に帰れないケースもあります。
入居期間が限定されているため終の棲家にはなり得ず、特別養護老人ホームの入居待ちをしている間に利用している人もいます。
介護老人保健施設には常勤医師がおり、特別養護老人ホームと比べると看護師の配置人数が多く、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職の配置も義務付けられています。
機能訓練の設備も充実しており、介護老人保健施設は在宅復帰に特化した施設と言えます。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置とリハビリを提供する施設です。
急性疾患からの回復期にある寝たきり患者を受け入れています。
医療法人が運営する施設で、看護師の人員配置が他の施設より手厚く、痰の吸引、胃ろう、経鼻栄養、酸素吸入といった医学的管理下でのケアが充実しています。
食事や排泄の介助などの介護サービスは提供されるものの、医療的ケアが中心であくまでも医療機関という位置付けです。
掃除や洗濯、買い物やレクリエーションといった生活援助系サービスはあまり提供されていません。
そのため、特別養護老人ホームのような終身制ではなく、心身の状態が改善してきた場合には、退所を求められることもあります。
多床室もあることから比較的少ない費用負担で利用できます。
介護医療院
介護医療院は、要介護者の長期療養と生活支援を目的とした施設です。
「利用者の尊厳の保持」と「自立支援」を理念として、介護と医療のサービスを一体化し、利用者が安心して生活できる場として機能しています。
医師の配置が義務付けられており、他の施設では受け入れが難しい喀痰吸引や経管栄養など医療ニーズの高い要介護者の受け入れも可能です。
人生の最終段階におけるケア(看取り)も行っており、重度の要介護者でも十分な医療ケアを受けながら安心した生活を送ることができる施設です。
居室もパーティションや家具で仕切られているため、4人部屋であってもプライバシーが守られる点も、介護医療院の特徴のひとつです。
老人介護支援センター
老人介護支援センターは「在宅介護支援センター」とも呼ばれており、介護を必要とする高齢者やその家族、あるいは地域住民からの相談に応じて必要な助言・援助を行う施設です。
自治体や老人福祉施設、医療施設など、老人福祉を増進することを目的とする各事業者との連絡調整、その他援助を総合的に行うことを目的に運営されています。
介護老人福祉施設に併設されていることが多いほか、介護老人保健施設や社会福祉協議会に併設されているケースもあります。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える総合相談窓口です。
専門知識を持った職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じており、介護保険の申請窓口も担っています。
各市町村が設置主体となり、センターを直接運営しているケースと自治体から委託され、社会福祉法人や医療法人、民間企業などが運営しているケースもあります。
地域包括支援センターは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援のための活動に関わっている方が利用できます。
高齢者自身からの相談はもちろん、その高齢者について気になることがあれば、ご家族や友人、近所の方からの相談も受け付けています。
地域包括支援センターは地域の高齢者を支えるために「介護予防ケアマネジメント」「総合相談」「包括的・継続的ケアマネジメント」「権利擁護」の4つの業務を行っています。
介護予防ケアマネジメント
要支援と認定された人や、支援や介護が必要となる可能性が高い人を対象に、身体状況の悪化を防ぎ、自立した生活が継続できるように介護予防を目的とした支援を行います。
その上で、近い将来介護状態になる恐れがある高齢者に「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能向上」「閉じこもり予防」「認知機能低下予防」「うつ予防」などの介護予防サービスを紹介し、参加を促しています。
総合相談
高齢者の各種相談に幅広く総合的に対応しています。
高齢者の困ったことに対して、必要なサービスや制度を紹介し、解決に導きます。
権利擁護
高齢者の方が安心して生活できるように、その方が持つさまざまな権利を守ります。
例えば、判断能力の低下により金銭管理ができなくなった高齢者に、金銭的搾取や詐欺から身を守るための成年後見制度の活用をサポートしたり、虐待被害の対応、防止、早期発見を行ったりと、高齢者の権利を守る取り組みをしています。
包括的・継続的ケアマネジメント
高齢者にとって暮らしやすい地域にするため、地域全体の医療・保健・介護分野の専門家から地域住民まで幅広いネットワークをつくり、そこで暮らす高齢者の課題解決や調整に臨みます。
具体的には地域ケア会議の開催、ケアマネジャーへの個別相談・アドバイス、支援困難事例等への指導・アドバイスなど、自立支援型ケアマネジメントの支援を行っています。
居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所とは、介護保険サービスを受ける要介護者の在宅介護に関する相談や計画、連絡・調整を総合的に引き受ける施設です。
主任ケアマネジャーやケアマネジャーが常駐しており、サービスを受けるために必須のケアプラン(介護サービス計画書)を作成するため、ケアプランセンターとも呼ばれています。
「居宅」とは自宅のほかに、軽費老人ホームや住宅型有料老人ホームなどの居室も含まれます。
居宅介護支援事業所の利用料は介護保険から支出されるため、利用者の負担はありません。
ケアマネジャーはアセスメントや専門知識をもとに、特利用者に必要なサービスを検討します。
また、アセスメントや関係者との話し合いの結果、居宅での介護が難しいと判断した場合は、介護保険施設(特別養護老人ホームなど)に入所するための紹介をおこないます。
居宅介護支援事業所と地域包括支援センターは、要介護度によって担当が分かれています。
居宅介護支援事業所では要介護1~5の人を対象に「介護サービス計画書」を作成します。
地域包括支援センターでは要支援1・2の人を対象とした「介護予防サービス計画書」を作成します。
老人憩の家
老人憩の家は、市町村の地域において、高齢者に対し教養の向上、レクリエーション等のための場を与え、高齢者の心身の健康の増進を図ることを目的とする施設です。
1965年に厚生省社会局長が各都道府県知事に通知した「老人憩の家設置運営要綱」に沿って市町村が設置する高齢者福祉の施設です。
高齢者福祉の施設ではありますが、老人福祉法で規定する老人福祉施設には該当しません。
利用できる方は原則60歳以上で、利用料も原則無料です。
老人福祉センター
老人福祉センターは、無料または低額な料金で高齢者の健康の増進やレクリエーションを支援する施設です。
本的に行政によって運営されており、知り合いの減少や仕事からの引退、身体的な理由によって家にこもりがちな高齢者の憩いの場としても機能しています。
老人福祉センターはレクリエーションや高齢者の健康増進に力を入れており、健康体操やカラオケ、軽いゲームなどで楽しむことも目的のひとつとなります。
高齢者の相談窓口になることもあり、高齢者やその家族にとって頼りになる存在といえるでしょう。
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